第27回定例会 議事録

疾患啓発(DTC)研究会 第27回定例会
2024年11月15日 開催

疾患啓発:希少疾病の課題解決に向けて

2024年度第27回定例会は興和株式会社様より会場提供をいただき15社31名の参加を得て盛況のうちに開催されました。冒頭で高橋代表理事から開会の挨拶があり、その後、疾患啓発:希少疾病の課題解決に向けて、希少疾病の治療薬を扱っている製薬企業の立場より、アレクシオンファーマ合同会社の越後浩氏と、患者・医師・企業家の立場より、指定難病患者・東京医科歯科大学客員准教授・株式会社Medii代表取締役医師の山田裕揮氏より講演がありました。

希少疾病領域における情報提供活動の課題

越後氏より医療全体の課題として治療目標が達成されていないにも関わらず治療が適切に強化されていない状態である”クリニカルイナーシャ”の背景について情報提供がありました。その後、臨床疑問に出くわした際の医師のジャーニーとして医師もまずはGoogle等で検索して調べることが一般的であり、調べても解決しないケースは他の医師に相談、他施設への紹介が行われている現状を示しました。課題解決のために、これまで未経験の診断/処方をする場合には、医師に自信を持ってもらうことが肝要であり、総論の情報提供だけでは、治療支援に大きな影響は期待できないとお話されました。最後にイノベーションで「患者中心」の実現を目指すヘルスケア・エコシステム“I2.jp”への参画について提案が行われ、講演が終了しました。

取り残された難病患者のリアルな苦悩と、現場医師を悩ませる医療環境の変化とは?〜早期診断・最適治療が当たり前となる未来に向けて〜

山田氏より日本における希少疾病の課題について、患者が組織的に発信・要望することに慎重である点や、新薬の臨床開発ハードルが高い点、そして医師の希少疾患知識習得や専門家連携が進みにくい点をご自身の経験(患者・医師)よりお話いただいた。また、スペシャリティー領域の難しさとして、医学部・卒後における教育機会が限定的であることや、診療頻度が少ないため経験の蓄積が困難であること、そして処方経験も限定的であることなどを挙げて医師同士を繋げること(E-コンサル)で解決できる提案を行っているとのことでした。 Medii社のE-コンサルで適切な治療に結び付いた具体例を交えて紹介がありました。サービス開始以降、登録者及びコンサル数は継続的に増加しており、同業の中でも圧倒的な件数と実績を兼ね備えており、『誰も取り残さない医療を』提供したいと講演を締めくくられました

治療継続支援プログラムを策定する

本研究会定例会の看板プログラムであるグループワークは参加者が4つのグループに分かれ、慢性咳嗽(8週間以上長引く咳)を題材とし、受診行動に至った患者さんの治療満足度を向上させるための医師啓発プログラムの中で、医師の現状と課題についてグループ討議が行われました。

情報交換会

定例会が終了し記念撮影のあと、お店に移動して立食形式での情報交換会が行なわれました。本会にも多くの会員が参加し、所属会社の垣根を越えて本日の講演やGWの内容、そして昨今の製薬業界の話題で盛り上がりました。参加者全員が笑顔でお店を出たのが印象的でした。 

記録:理事会聴講録係