疾患啓発(DTC)研究会 第26回定例会
2024年5月23日 開催
疾患啓発(DTC)活動と患者支援プログラム(PSP)
2024年度第26回定例会はサノフィ株式会社様より会場提供をいただき14社31名の参加を得て盛況のうちに開催されました。
冒頭で高橋代表理事から開会の挨拶があり、その後、DTC(疾患啓発)活動の事例として、株式会社エムティーアイの高橋知朗氏と、株式会社レイヤードの田沢悟郎氏より自社サービスを用いた顧客アプローチについてミニレクチャーがありました。
本聴講録ではミニレクチャーの講演内容とその後に実施されましたグループワークを抄録でお知らせします。
CARADAアプリと健診データを活用した新たな顧客アプローチの可能性について
高橋氏よりCARADAアプリと健診データを活用した新たな顧客アプローチの可能性について講演があり、疾患啓発としての活用例として2点紹介いただきました。1点目は、パーソラナイズされた疾患啓発の事例。2次検査への誘導の際に、アプリで特定の数値が高い患者にピンポイントで啓発情報を提示し、疑われる病気を鑑別するための検査を促すことで顕在患者数の増加が見込めると説明がありました。2点目は、希少疾患の早期発見の事例。生活習慣病やがんといった通常の健診や人間ドッグで発見可能なものと異なり、希少疾患は医師側の知見が少なく患者数も限られるため健診機関側も投資が難しい。アプリ上で登録済みの健診結果を活用し、独自の問診を組み込むことで早期発見・治療に貢献できないか、現在模索している段階であるという説明がありました。
患者-医師の距離が最も近い場所で行われるDTC施策
田沢氏より院内サイネージやWEB問診を活用したDTC施策について事例を交えて講演がありました。院内サイネージでは待合室で啓発動画等を放映し、かかりつけ医に相談しやすい環境を提供している。また、WEB問診では疾患啓発、受診促進を行うことができ、WEB問診アンケート結果の電子カルテ転記機能も備えている。
2024年診療報酬改定で、高血圧、糖尿病、脂質異常症に関しては従来の特定疾患療養管理料から新設された生活習慣病管理料(Ⅱ)に移行し、計画書の策定や説明・同意取得には多大な労力を費やすこととなるため対応に苦慮している医療機関が多いと伺うが、レイヤード社のDXツールを使ってWEB上で完結できるよう仕組みを構築している。院内マーケティングの強みである「受診時の患者導線」を最大限生かしながら、仕組み作りを行うことができると説明がありました。
治療継続支援プログラムを策定する
本研究会定例会の看板プログラムであるグループワークは参加者が4つのグループに分かれ、テーマは前回(第25回)に続き、月経困難症の受診行動に至った患者さんの治療継続を支援するプログラム:PSP(ペイシェント・サポート・プログラム)の策定が課題に設定され取り組みました。第25回のグループワークではPSPの目的と内容(誰の何を解決する為に何を提供するか)の検討を行い、今回の第26回では、『患者さんの現在状態』『PSPにより達成させたい状態』『PSPで用いるツールや施策のアイデア』を検討しました。グループ発表では、共通する部分や独自な意見もありました。高橋代表からは企業が患者とどう向き合い支援を行うかはDTCの根幹の課題であり、その中でもPSPは今後特に注目すべきテーマであること、厚労省より平成31年に提示されたグレーゾーン解消制度における回答もPSPの助長と繫がるだろうとの意見がありました。
情報交換会
定例会が終了し記念撮影のあと、お店に移動して立食形式での情報交換会が行なわれました。本会にも多くの会員が参加し、本日の講演やグループワークの内容、そして昨今の製薬業界の話題で盛り上がっていました。